モデル3SR+のバッテリー寿命はどのくらいか予想してみた

購入

保証は8年16万キロ

テスラジャパンより

 テスラジャパンのWEBページによると、2021年6月現在、上記のような車両保証になっています。

 しかし、70%というとスタンダードレンジプラスは448km*70%=313.6km
コンソールの表示では満充電で423kmとなっていますから、423km*70%=296.1km以下になったら保証されるということのようです。

 ここまで短くなってしまうと、普段使いが心配になってしまいそうです。

 どのような保証になるかは聞いていませんが、バッテリー全部を新品にするというよりは、不良セルの交換などになると思いますから、新車の容量に戻るということではないと思います。

 この保証はメーカーとして最悪の環境を考慮してのものでしょうから、バッテリーの運用方法によってはもっと寿命を延ばせるのではないか?もし理想的な運用方法をとればどのくらい性能を維持できそうかしりたい、と思ったので考えてみました。

一般的なLFPバッテリーの特徴

 モデル3スタンダードレンジプラスは他のグレードと違いLFPバッテリーというリン酸鉄リチウムイオン電池が採用されているそうです。

 とある電池メーカーの紹介では、安全性、長寿命、コストパフォーマンス、などがあげられています。ただ低温には強くないので、一般的には-20℃くらいになると性能がかなり下がるようです。

 テスラもそれは承知しているようで、気温が下がるとバッテリーを温める機能が用意されています。 

 オーナーマニュアルによると、冬期は出発の30分前くらいには車の暖房を入れるよう推奨されています。車の暖房をいれることで、バッテリーも加温され、発車までに最適なバッテリー温度となるしくみです。

 冬でもコンセントに接続していれば大きな問題はなさそうです。

 では実際どのくらいの充電回数でどれくらいバッテリーの容量が少なくなるのか、具体的な走行距離を考えてみます。

バッテリーの容量が90%になるまでの走行距離

 これは別のメーカーですが、放電レート、放電深度、バッテリー温度ごとの充放電回数と容量の低下を示すグラフです。

 Cレートとは放電レートといい、1Cとは1時間で放電が終わる電流で放電することを表します。この表では0.5Cとなっていますから、2時間で放電が終わる電流を流して測定したということです。

 モデル3で時速100kmで1時間走行するとき、1km走行するために150Wの電力を消費すると仮定して、
150w*100km=15000W=15kwh
となり、1時間に15kwhの電力を消費します。
 これは60kwhのバッテリーが4時間ですべてなくなる消費速度です。
 Cレートは15kwh/60kwh=0.25となります。

 このグラフの放電レートは時速100kmで走行しているときの2倍の負荷がかかっていることになります。実際はもっと負荷が軽いと思うのでそのまま読み取ることにします。

 さらにグラフを見てみます。

 DODが100%(オレンジ)のとき、1000回充放電するとバッテリー容量が90%に低下
 DODが80%(黄色)のとき、2000回充放電するとるとバッテリー容量が90%に低下
 DODが50%(青)のとき、2300回充放電するとるとバッテリー容量が90%に低下

 となっています。DODが80%と50%のときはDOD100%に比べて倍近く寿命が長いです。

 また、DOD80%と50%にあまり差がないことは興味深いです。

 DOD80%でバッテリー容量が90%になるのは
60kwh*80%*2000回*6km/kwh=576,000km
ということになります。

 この距離は一定の充電電力で充電し、かつバッテリー温度は25℃の条件です。急速充電器を多用したり、100%近く放電したりするともっと短くなると思います。

DODとはなにか

 DOD(Depth of Discharge)とは充電深度のことです。充電深度100%とは

 これは例えばスマホなら、100%に充電してから0%になるまで充電せず、バッテリーが0%になってスマホが使えなくなったら100%まで充電する、という使い方を繰り返すというものです。

 充電深度50%であれば、90%まで充電して40%に減ったら90%まで充電といった使い方になります。

 充電深度は100%に近いほどバッテリーの劣化が進むことがわかっています。スマホのようにこまめに充電することがバッテリーに優しいことがわかります。

 充電深度80%で運用するとどのようなイメージになるか考えてみました。

 まず、自宅からバッテリー100%で出発します。20%まで減ったら充電します。

このとき、60kwh*80%*6km=288km走行している計算です。

 次に、20%から100%まで充電、と行きたいですが、80%以上は充電速度が著しく落ちるので、80%までしか充電しないのが現実的です。

 と考えると、20%から80%へ60%充電することになります。

このとき、60kwh*60%*6km=216km分充電できる計算です。

 ところが、この36kwhを一度に充電できる急速充電器はテスラスーパーチャージャーしかありません。(リーフ+と90kw充電器なら可能かもしれませんが持っていないのでわかりません)

 なぜなら、ほとんどの急速充電器は50kw以下の充電速度であり、さらに1回に30分間までという利用制限があるので、計算上最大25kwhまでしか充電できないのです。

 またテスラの充電コネクタをCHAdeMOコネクタに変換するアダプターが50kwまでとなっています。

 このアダプタがボトルネックとなっていて、CHAdeMOの90kw充電器でモデル3を充電しても50kwまでしか充電できません。

 30分で150km走行分の充電しかできないのでは、EVで帰省したり旅行するととんでもないことになります。1時間半走って30分充電、2時間で150kmしか移動できません。

 ここが国産でなくテスラにした大きな理由のひとつです。

 購入前に絶対知っておかなければいけないことなので、記事の趣旨と違いますが書いておこうと思います。

温度とバッテリーの劣化の関係

 バッテリーの温度管理はとても重要です。急速充電や急速放電をするとバッテリーの温度が上昇してバッテリーが劣化してしまいます。温度の上昇をとめるには水冷が効率よく、テスラは水冷を採用しています。

 また、バッテリーの温度は低くなりすぎると充電性能が低下してしまいます。気温が10℃くらいでも、回生ブレーキによる電力の回収に制限がかかっていたので、LFPバッテリーは寒さに弱いとわかります。テスラはこれもバッテリーを温めることでクリアしています。特に、2021年型モデル3はヒートポンプが採用されたため、効率がアップしているはずです。

 EVを購入するときは、バッテリーが空冷ではなく水冷であることを確認しないと、後々後悔することになりそうです。

どういう使い方ならそれが可能か

 まとめると、普段は200V/100Vで普通充電し、週末の旅行は100%から20%まで放電、あとは20%から80%の間で急速充電という使い方であれば、50万キロ走行したとき電池容量が90%(448kmが403km、423kmが380km)という具合と考えました。

 私は1年で15000km程度しか走らないので、10年でも20万キロ走行しませんし、自宅に駐車中は常に100vに接続したままなので、バッテリーの温度管理も自動で行われるため、バッテリーの劣化を心配する必要はなさそうだと考えています。

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